体験学習B
日時 2017年8月22日(月)10:00~12:10
場所 霊源閣[旧・山本条太郎別邸; 現・神霊教鎌倉錬成場](鎌倉市長谷)
テーマ 「ひと昔前の和の住まいとそのくらし方」
指導 学習:志村 直愛先生(東北芸術工科大学教授)
茶の湯:兵藤 史先生(茶道裏千家助教授)
霊源閣は、大正期に実業家・山本条太郎により創建された別邸で、100年近くもその状態が保持されている和風住宅は、鎌倉でもめずらしい。この建物を実際に目の当たりにし、肌で触れることによって、今の小学生が殆ど接することのない和風住宅建築について、現在の住宅建築との特徴的違いを主体的に見つけてもらう。そのくらし方についても、現在との違いを様々な切り口から学んでもらうとともに、茶室での茶道体験により和の文化を実感してもらうことをねらいとした。
20名の募集定員に対して定員を超える応募があり、当日は21名(4年生11名、5年生2名、6年生8名)の参加があった。
学生に現在の住いの建て方について聞いてみると
体験を始める前に、広間(客間)に全員が集合し、管理人の山口さんからこの別邸の簡単な歴史と霊源閣となった経緯の簡単な説明を受けた後、志村先生から今回のねらいとこの建物の立地のすばらしさが話された。そして、学生の現在の住まいについて建て方を聞いたところ、大半が一戸建てで木造であることがわかった。その後、志村先生からこの日の学びの概要ガイドがなされた。
3つの体験に3つのグループで順次取り組む
7人づつのグループに分かれて、各グループで20分ほどの時間帯を順次回しながら、以下の3つの体験に取り組んだ。
◆体験1 「自分の家にも『あるある~ないない』もの探し」
付箋3種を用意し、以下の3種の“もの”を見つけたら、異なる色の付箋(名前と感想を記す)を、その“もの”に貼り、自分のワークシートにも記載してもらった。
①自分の家にはない珍しいモノ・・・
②自分の家にもあるけれど形や大きさが違うもの・・・
③自分の家にもあるものと同じもの・・・
対象となる部屋は、二間続きの客間(10+8畳)とその縁側、主人の居室であった居間(10畳)と縁側、表玄関と主屋部への階段・廊下、洗面所として、各自自由に動き回ってもらった。
<スケッチ>
・客間の立派な神棚(神霊教)や床の間に注目が・・・
・居間の立派な木製の火鉢はめずらしい
・和の芸術品:客間の電灯笠の昆虫飾り、居間の松のふすま絵、廊下の鐘ような形の壁面窓
◆体験2 「寸法を測ってみよう!『大きさ比べ』」
歴史あるこの建物には、今ではとれない大きな材木や、畳や障子など、決まった大きさで作られたものがあったり、現在は使われていない昔の単位「尺寸分」で決められた長さが使われている場所もある。学生達には、用意した手作りの尺センチ比較計測棒、コンベックス・巻き尺をもって、邸内を自由に歩いて観察しながら、以下の3種の調査をしてもらい、その場所・ものに付箋を貼り、ワークシートにも記載してもらった。
①測ってみよう1:決まった大きさで作られたものを探そう・・・
②測ってみよう2:寸法ピッタンコを探そう・・・
③この家の中で一番長~い木材を探してみよう・・・
対象となる部屋は、体験1と同じ
<スケッチ>
・客間の縁側の床やガラス戸は尺寸で測れるものが
・居間の長押には長い木材が・・・
・畳の寸法は6尺×3尺だけではない
◆体験3 茶室で茶の湯を体験しよう
邸内にある2つの茶室の内、小さい方の躙り口のある茶室(三畳台目)で、茶道体験をしてもらい、和の文化の一端を実感してもらった。順次、客人として、茶道にのっとり、茶室の庭側より、背をかがめて「躙り口」から入室し、お点前の作法にそって飲茶を体験し、飾られた、掛け軸や花とともに、菓子を味わいました。
<スケッチ>
・躙り口を庭から見ると・・・
・茶の湯の作法に耳を傾け・・・
・お菓子とお薄を味わう
学生たちの見つけたもの、感じたことは・・・
3つの体験を終えて、最後に全員が大広間に集まり、志村先生や兵藤さんから総評をいただいた。
・窓の外の屋根瓦にも興味をもってもらえた
・7mの床材を見つけた子ども達も
・木材を使うのは地産地消に
・この体験を活かして鎌倉の文化の伝承を・・・
最後に、アンケート記入の後、解散した。
(文責:中村、写真:島村)