2024年度「子ども大学かまくら」第4回授業
「自分の好きなものを大切にしよう」
講師 今泉 力哉先生(映画監督)
11月22日(日)10時~正午 鎌倉芸術館小ホール
(授業レポート)
映画監督になるまで
小学校のときは国語が一番苦手で、小説を読むのも苦手でした。おじいちゃんがよく映画に連れて行ってくれました。高校生のときに映画を作ってみたいなと思い、芸術系の大学に進みました。卒業映画制作で挫折、お笑いの学校に通って頑張っていましたが、あるとき先生に「あなたは物語を作りたいのでしょ?」と言われて、やっぱり映画を作りたいと思い、映画学校に通って、2010年に商業デビュー。14年間に20本の長編映画を制作、今年に「からかい上手の高木さん」が公開されました。監督は偉くはありません。たくさんの人がそれぞれの才能を生かして、お互いに頼り合って作るのが映画の良さです。
なりたい仕事ってある?
今やりたいことがない人もあせらなくていい。人と比べずに、自分の中で決めていくといいですよ。僕も映画監督という仕事は不安ばかりでした。昔はアルバイトを15くらいやっていましたが、その時間は映画を作るときに活きています。なりたい仕事が見つからないときの時間は絶対にプラスになります。長い人生で言えば1年とか2年とかは大したことないです。不安があっても、周りと相談しながら進んでいけばいいのです。
好きなものって言える?
今の時代は、情報がめちゃくちゃ大量に入ってきます。自分が好きなものを人が好きじゃないとか、周りの人がいいって言っているものが好きじゃないとか、ずれることってあるよね。自分だけ間違っているような不安になることがあります。でもその気持ちは大事にしてほしいです。それがいわゆる「個」です。大きな悩みに比べると自分の悩みなんて、と思わずに、日々の悩みや小さい悩みも大切にしてほしいです。これは生きていくときの基準にもなります。だから家族や友人とは話せるようにしておいた方がいい。自分は親として「子どもは自分と違う人間」ということを大切にしています。子どもの好きと自分の好きは違うので、仕事だけじゃなくて結婚とか、正解は一つじゃないですよね。また、親は子どもよりもたくさん知っている必要はなくて、子どもから学ぶことも多いです。
映画も人生も、過程を大切に
映画を作るときは、何かの結果までの過程を大事にしています。最終的に成長とかしなくても、その過程での気持ちとか行動とか、一生懸命やっている時間や状況を描ければと思っています。例えばみんなが他の人からアドバイスとかされたとき、基本的にはちゃんと聞いた方がいいけど、それが絶対だと思わないほうがいい。自分と違うなって思ったら、自分の中にある「好き」を大事にしてください。
(文責=森 牧、写真=島村國治)