2023年度 子ども大学かまくら学長との特別対話ゼミナール
テーマ「私たち小学生が抱えている問題、悩み」
講師 養老孟司先生(子ども大学かまくら学長・東京大学名誉教授)
2023年8月4日(金)10時~11時45分
鎌倉生涯学習センター集会室
(授業レポート)
小学4,5,6年生31人からの質問を軸に、養老学長との対話ゼミナールは1時間半にわたり続きました。その内容を「学校・勉強」「人間関係」「家族・ペット」「その他」の4項目に分類し、要約しました。詳細は2025年春に発刊予定の授業記録集に収録します。
「学校・勉強」
集中の限度は15分って言われているから、いいんだよ、集中力できなくても。数学ってね、教わっちゃダメ。必ず自分で考えてやる。そうすれば応用が利くし、いつまでたっても忘れない。今の子どもは、何かしなきゃいけないってことがありすぎる。それに自分を近づけようとするからストレスが多くなる。やる気が出ないなら、やらなきゃいいんですよ。何か別のことをする。僕は虫とりに行っちゃいます。いろんな状況にならないと頭の良し悪しはわからない。大事なのは自分で考えるってことですね。考えるっていうのは、体で考えるんですよ。頭で考えるんじゃない。それが僕の勉強法です。おすすめの本?いっぱいありますけど、自分で探さなきゃ。教わっちゃダメ。今でも覚えてるのは、岩波文庫のファーブル昆虫記。
「人間関係」
人のために何かするためには自分に力がないとダメですから、失敗したってがっかりしないように。できれば自分のために何かしてください。相手が怒るから意見しない方がいいっていうのは不親切。相手がキレるぐらいまで言うのは大事なことでもある。友だちと仲良くするのはいいことなんだけれど、あんまり近づくのも苦労が増えるから、適当に間を取る。人に嫌われることを怖がる必要はない。自分を嫌う人と付き合わなきゃいいんだから。今の自分はこれでしょうがないだろっていう風に思えるといい。できますよ。僕は、小学校から大学、それから勤めても居心地悪かったですよ。自分がしっかりするしかない。居心地が良いとこを探せばいい。山の中に行ったり、川行って魚をとったり。
「家族・ペット」
兄弟げんかは悪いことじゃない。そのほうがわかり合えるようになる。相手が悪かったら本当は怒らなきゃいけないんですよ。動物を相手にするには、嫌がることは絶対にしちゃいけない。人間も同じ。虫も無理に好きになる必要はない。無理に好きになろうと思ったら、ますます嫌いになりますから。
「その他」
自分が今12才だったら多分ゲームやスマホやってるでしょうね。あとは虫とり、魚とり。将来何になりたいかなんて考えたことない。体鍛えますね。地震とかが起こっても大丈夫なように。君らは皆これから変わってくる、それは忘れないで欲しい。あんまり慌てて結論を出さないように。こうしなきゃいけないとか、ああしなきゃいけないとか、自分を苦しめないように、毎日元気で明るく暮らしてください。
―最後に学長からー
君たちは皆これから変わってくる、今の自分の考えてることが自分じゃないですよ。あんまり慌てて結論を出さないように。こうしなきゃ、ああしなきゃとか、自分を苦しめないよう、毎日元気で明るく暮らして。(了)
(文責=森 牧、写真=島村國治)