2023年度 子ども大学かまくら第5回授業
「法や裁判所は何のためにあるの?」
講師 石渡哲先生(防衛大学校名誉教授、法学博士)
2月17日(土)14時から
鎌倉学園 星月ホール
(授業レポート)
判決が下されるまで
刑事事件の場合、まず捜査機関(原則として、警察)が捜査をし、終わると事件を検察に送り、検察はまた事件を捜査します。その結果、証拠がそろって有罪判決を得ることができ、かつ処罰の必要があれば起訴(公訴を提起)します。起訴された人は被告人と呼ばれます。起訴をしますと裁判で調べられ、その結果に基づいて裁判所は判決を言い渡します。裁判所は犯罪事実が証明されれば 有罪判決 を、されなければ 無罪判決 を言い渡します。
犯罪の証明とは?
裁判官がある事実があった・なかったという確信を持つことを証明といいます。ですから犯罪事実が証明されなければ、裁判官は、被告人が疑わしく思えても、無罪を言い渡します。このことを「疑わしきは被告人の利益に(疑わしきは罰せず)」と言います。
裁判所はなぜ必要?
例えば人が殺された場合、大昔は復讐がなされましたが、復讐の復讐がどんどんとふくれあがってくると困るので、国による刑罰に変わっていきました。
判決がおこなわれるとどうなるの?
確定した判決で決まったことは変えられません。但し、判決が確定した後になって、証拠がでっち上げられたことが明らかになった場合等には、例外として確定判決を取り消して事件の調べ直しと正しい判決を求めることができます。これを再審といいます。罪を犯していないのに罰せられてしまう冤罪は無実の人を罰する一方、本当の犯罪者を世に放置することになります。だから、冤罪は起こしてはなりません。
法や裁判所について興味を持ったら、ぜひ実際の裁判を傍聴してみてください。
(文責=森 牧、写真=島村國治)